26歳未婚女性

カブトムシ

20200215

昨日はバレンタインデーだった。

去年も特別何かをした思い出もない、今年も特段意識などしなかった。

昔は一週間前から雑貨屋とスーパーと百円ショップに通い

今となっては何をしているかも定かではない存在になった「友人」らしき人にも

まんべんなく配るためのチョコレート菓子を量産していた。

今思うと、とてつもなく無駄な行いであり、だれもそれを楽しんでいたようには思えない。

(親もそのたびに金をせびられてかわいそうだ。)

 

こちらベトナムホーチミンにおいては常夏であるから

肌寒い外でチョコレートの入った紙袋をぎゅうっと握りしめて

誰かを待つ切なさも味わうことがないのだなと思った。

そもそもこの人たち、切ないとかいう感情を知っているのかな??

 

クリスマスも同じだ。

クリスチャンが多いとはいえ、ほとんどは仏教徒であるこの国でも

日本と同じようにクリスマスはイベントでしかない。

ただ違うのは、日本よりも教会が堂々と存在していて

敬虔なキリスト教徒はそこに家族総出で並び、賛美歌を歌う。

宗教観など見た目には判断がつかないため、仕事中に「教会にいかねばならない」と言って早々に退勤するものもいた。

 

 

私にとってクリスマスもバレンタインも、それこそ年末年始も

雪が降りしきる寒い時期のイベントであると認識していたので

32度のなかで眺めるクリスマスツリーなんてものは、異様でしかなかった。

 

そしてわたしはいま、おしゃれなカフェで犬式を聴いている。

 

このカフェには目を見張るようなイケメンがいる。

文字通り目を見張りすぎて、彼はすごく戸惑っていた。

昨日は、にやにやと凝視しすぎて、ついには「なぜ僕をみて笑うの?」と聞かれてしまう。

話しかけられるなんて思ってもいなかったため「あっ、アッ、あまりにもハンサムだから」などど口走ってしまう。

 

彼は思ったよりも若く、24歳であった。

気持ちの悪い私は昨晩、ベトナムで主流であるSNSFacebook内で彼を見つけだした。

出会った場所が特定できれば個人ページにも容易くリーチできる時代だ。

 

このカフェのコーヒーはおいしく、きちんとした豆の味がする。

そのことを言い訳に、本日も足を運んでいる。

トイレに席をたったわたしに彼は名前を尋ねてきてくれた。

やはり私の名前は発音しにくいようで、(「ひ」の発音が特に)

なんともかわいく手こずっていた。

自分の名前は漢字も難しいため、国籍問わず自己紹介に手こずってしまう。

そんな自分の名前を復唱する人の様子をみるのは自己紹介毎のことであるが、史上最高の手こずり様だった。

「私の名前かわいく繰り返す人間ランキング」圧倒的1位だった。

そして名前を聞き返すと、わたしの手のひらにローマ字を一文字ずつ書いて教えてくれた。

ごめんねわたしFBで特定して名前をすでに知っていたんだよ。

気持ちの悪いアラサーにかまわせてごめん。本当に申し訳ない。

さらなる仕打ちのようで申し訳ないが緊張のせいで手汗びっしょりだった。

本当に申し訳ありませんでした。